仕事をしているときに「この看護計画って合っているのかな?」「もっとこうした方がいいんじゃない?」と考えたことはありませんか?
提供するケアは十人十色です。「その人らしさとは何か」を常に考えて情報収集をしており、その人に合った問題点を抽出し、個別性を考慮した看護を提供していると思います。
しかし、患者が抱える真の問題解決策を見出すのことは容易ではありません。
そこで登場するのが「クリティカルシンキング」という考え方です。
この論理的かつ批判的思考を持って看護過程を展開することで、さまざまな問題点を抽出することができ、患者が真に求める解決策を見出すことができるのです。
それでは今回のテーマでもある「クリティカルシンキング」について説明していきたいと思います。
クリティカルシンキングとは
クリティカルシンキングとは、「目標達成のために“論理的”かつ“批判的”に物事を解釈し問題を追及する考え方」のことです。
患者に最適な看護を提供するにあたって必要不可欠な考え方であり、「看護の質」を重要視される今の時代において、その重要性はますます注目されています。
看護を提供するための過程は?
そもそも患者に看護を提供するには、
①「アセスメント」
②「看護診断」③「看護計画」
④「看護介入」⑤「看護評価」
という一連の過程を踏んでいく必要があります。
その過程で、「ここはどうすれば良いのか」「本当にそれで良いのか」といった疑問を突き詰めていく必要があります。
この批判的思考を事実に基づいて、追及する過程が個別性を出していくために大切となってくるのです。
クリティカルシンキングに繋がるステップ
1.問題を取り巻く状況を分析・整理する
2.生じる可能性のある問題の原因を定義・特定する
3.その問題を分類分け(細分化)する
4.その問題の解決法を導き出す
5.最適となる問題解決法を選択・実施する
6.実施結果の評価と生じた問題に対して調整を行う
この6つの過程の中で取得した情報について、常に“正しい”か“正しくない”かを考えることで、より質の高い結果を得ることができます。
批判的・論理的に看護過程を展開するためには?
①情報の明確化
②推論の検討
③行動の決定と問題解決
の3つの批判的思考と構成要素を意識しておく必要があります。
①情報の明確化
アセスメントを行う目的は、情報を取得・明確化することにあります。診断や計画の立案に先立って、患者の客観的・主観的データやニーズ・心配事などの情報を、観察や対話において取得しますが、取得した情報を明確にすることで、患者が抱える問題点も明確になってきます。
そして、問題提起のための仮説・前提・危険性に焦点を当て、取得した情報が正確性の高いものなのかという批判的な視点で追求することがアセスメントにおけるクリティカルシンキングであり、取得した情報が正確性に乏しければ、真に解決すべき問題が異なるため、取得した情報の明確化・正確性の追求が求められます。
②推論の検討
看護診断では、アセスメントによって得た正確な情報をもとに、患者が真に抱える問題を見出すとともに、それらの問題が解決可能であるかどうか吟味した上で決定します。
まず、得た情報に不確実性が伴っているかを、観察・データ・患者との対話・家族との対話・報告書など分析・評価し、多角的な情報から一致・不一致を判別します。そして、一致した正当性の高い情報をもとに、推論を立てていきます。
推論とは、根拠から結論を導くプロセスのことで、看護計画を立案する際に重要な要素です。正当性の高い情報から導き出した看護における患者の問題を解決するために、リスクはないか、利益はあるか、効率的か、バランスよく実施できるか、などを考慮・吟味した上で、実施する内容が真に患者にとって適切な行為なのかを判断・決定します。
看護過程におけるクリティカルシンキングで、最も重要となるのが「推論の検討」であるため、“なぜ”、“どのように”という疑問を常に持ち、効果的かつ効率的な解決策を見出す必要があります。
③行動の決定と問題解決
最後に、「情報の明確化」、「推論の検討」のプロセスに基づいて結論を導き出し、行動決定や問題解決を行います。看護介入を行う際には、患者の反応をアセスメントし、決定した行動が真に患者にとってより良いものなのかを考え、否または改善の余地があれば再実施に向けて、“なぜ”適切ではなかったのか、“どのように”改善すれば良いのかを検討・判断します。
このように、正確性・根拠のある情報から問題点を導き出し、その問題を解決するために最適となる看護ケアを決定し、実践・評価するというプロセスを踏む看護過程において、“なぜ”や“どのように”という疑問を投げかけ、批判的視点を持って展開していくアプローチ(クリティカルシンキング)は、患者の真に抱える問題解決のために必要不可欠な思考能力なのです。
まとめ
クリティカルシンキングの考え方は看護の個別性を高める為に必要不可欠なものです。この”疑う”という思考が問題解決能力を向上させ、患者にとって最適な看護を提供することに繋がるのです。
1つ1つの情報や問題点に対して“それは本当に正しいのか”、“それは本当に患者のためになるのか”という疑問を持ち、常に批判的態度で考えることで、クリティカルシンキングの姿勢が確立されていくでしょう。
いかがでしたか
「クリティカルシンキング」の考え方は様々な場面において、人生においても有効的に作用します。是非現場で活かしていただき、質向上に繋げていただけたらと思います。
引用サイト:https://j-depo.com/news/critical-thinking.html
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